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小さな手大きな手

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2019年06月01週
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(前週よりの続き)

大地が孕んだ風の子よ
み空が孕んだ風の子よ
虚空を射抜くまなざしと
祈りの詩は放たれた

砂塵が孕んだ風の子よ
瓦礫が孕んだ風の子よ
虚空を射抜くまなざしと
祈りの詩は放たれた

分け隔つ壁 世界の果て
悲しみのつぶて
憤怒の声は
蹴上げるように
大地を震わせた 約束は描かれた
尊厳を賭けて

襲いかかる雷鳴の
恐怖の夜が刻まれた
虚空を射抜くまなざしと
祈りの詩は放たれた

踏みにじられたカナンの地
伐採されたオリーブの樹
虚空を射抜くまなざしと
祈りの詩は放たれた

分け隔つ壁 世界の果て
悲しみのつぶて
憤怒の声は
蹴上げるように
大地を震わせた 約束は描かれた
尊厳を賭けて

ブーヘンヴァルト ビルケナウ
ラッマーラ ジェニン ベツレヘム
ワルシャワ ダッハウ マイダネク
ナブルス ラファ ベイトジャラ

 と、ソウル・フラワーが歌う、「パレスチナ」の、「ブーヘンヴァルト ビルケナウ」「ワルシャワ ダッハウ マイダネク」は、ナチス・ドイツの「強制・絶滅収容所」、「ラッマーラ ジェニン ベツレヘム」「ナブルス ラファ ベイトジャラ」は、ヨルダン川西岸とガザのパレスチナ自治区という名の巨大強制収容施設「天井のない監獄」。
 ナチス・ドイツの「強制・絶滅収容所」は、ユダヤ人であるという理由だけで、当時のドイツはもちろん、ドイツが占領した、ポーランド、チェコスロバキア、オランダ、フランスなどから、「着の身着のまま」で運ばれ「最終処分」された場所です。
 後者のパレスチナ居住地は、現在のユダヤ人国家イスラエルによって、7メートルのコンクリートの壁によって囲まれる「天井なき監獄」になっている。
 昨年公開された映画「ガザの美容室」はそのガザを描きますが、映画のパンフレットにはガザのことが紹介されています。「いま世界で『ガザ』ほど忌わしい地名はないだろう。地中海に絆創膏のように張りついている狭い地域。51年前からイスラエルの占領下に置かれ、24年前からパレスチナ自治が始まったが、11年前にイスラム組織ハマスの支配にあり、同時にイスラエルの経済封鎖が始まった」「陸の三方はコンクリート壁で囲まれ、『巨大監獄』と呼ばれる。海も封鎖されている。占領、封鎖、戦争、政治対立の中で、人々は悲惨な生活を強いられている。若者たちの失業は6割以上で、麻薬の蔓延も深刻」。
 そのガザで、ラッマーラで「大厄災(ナクバ)」の5月15日、人々は超えることのできない壁に向って行進し、故郷への帰還の希望と要求を叫び「鍵」をかかげます。そこには、世界の誰もが耳を傾けることも心を届かせることがなかったとしても、「分け隔てる壁」の内側からその壁の不当性を訴える叫ぶ人たちがいます。極限の悲しみと怒りは「つぶて」となり、怒りの声は大地をゆるがしています。明日への希望をかすかな星の夜の闇に描く人たちがいます。なぜなら「尊厳」というすべての生きものが、生きものとしてある存在とその意味を誰も、何者も奪うことはできないから。
 「ブーヘンヴァルト ビルケナウ」「ワルシャワ ダッハウ マイダネク」で、ユダヤ人たちに対して起こっていた「最終処分」という名の抹殺は、人間に止まらず生きものとしての存在の意味、意義の一切を奪い、どんな言葉も萎えさせずにはおかない、人間存在の根底をくつがえすできごとでした。それは、ブーヘンヴァルト、ビルケナウ、ワルシャワ、ダッハウ、マイダネクに止まりませんでした。「かれらはすでに生きる意志をすっかり失っている者たちのうちの比較的大きな層である。かれらは収容所では回教徒と呼ばれていた。すなわち、絶対的使命論の民である。しかしながら、かれらが死を覚悟しているのは、意思を実現させることによるのではなく、意思を破壊させてしまったことによるものだった。かれらは起こることを起こるがままにしていた。なぜなら、かれらの力のすべてがそがれ、無にされていたからである」(「アウシュヴィッツの残りもの――アルシーヴと証人」ジョルジョ・アガンベン、月曜社)。
 そうして、「強制・絶滅収容所」でナチス・ドイツによって、およそ600万人のユダヤ人が殺されたと言われます。ナチス・ドイツの手の及ばなかったユダヤ人たちがパレスチナに国家を建設します。そのユダヤ人の国家イスラエルが、ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地を、7メートルのコンクリートの壁で囲み「天井のない監獄」にしています。かつて、ナチス・ドイツの「強制・絶滅収容所」のように、そこに閉じ込めた人たちの生きる「意思を破壊させる」ことが、70年間そして今日も、繰り返されているのがガザでありヨルダン川西岸現在の「強制、絶滅収容所」です。そんな収容所「天井のない監獄」がガザであり、映画の「ガザの美容室」は、そこで、そこをめぐって起こっていることを切り取って見せます。
 「天井のない監獄/ガザの声を聴け!」(著:清田明宏/集英社新書)は、「陸の三方はコンクリートの壁で囲まれ、『巨大な監獄』と呼ばれるガザで生きる「市井の人々の声」を聞き、届けます。140万人の戻るはずの家のカギだけで難民となった人たちを加え170万人がガザのパレスチナ人たちです。そのパレスチナの人たちの生活を支えているのが、「国連パレスチナ難民救済事業機関」(通称ウンルワ)です。そのウンルワで10年以上働いて、パレスチナのガザの人たちの様子をつぶさに見ることになった記録です。


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