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2019年06月04週
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(前週よりのつづき)
 復興庁は、東電福島の事故の「避難区域設定12市町村」への「移住促進」「人材確保」の為の移住専門検討会を発足させています。「復興庁は2019年度、東京電力福島第一原発事故の避難区域が設定された12市町村への移住促進や、労働力不足解消に向けた人材確保に新たに取り組む。県や12市町村と移住専門検討会を発足させ、移住関連イベントの出展を支援するほか、移住者の受け入れ窓口となる団体の課題解決を後押しする。人手不足が深刻な業種のニーズを詳細に調べ、高齢者や外国人労働者の活用を探る」「2日(6月)Jヴィレッジ(楢葉・広野町)で開かれた12市町村の将来像に関する有識者検討会で示した。復興庁が将来像の実現加速化に向け取り組む重点事業5項目は(表)の通り」(以上、6月3日、福島民報)。


















福島県では、東日本大震災と東電福島の事故で避難しているのは、復興庁の発表によれば、51184人(5月14日現在)となっています。そのうちの飯舘村、大熊町、浪江町の3町村の場合、事故前の人口から、現在戻っているとされる住民を差し引くと、36976人(5月末現在)になります

  事故前(a)  事故後(b)   (a)-(b)
飯舘村    6,331   1,034    5,297
  大熊町  11,580 25   11,555
浪江町  21,034 910   20,124
   38,945   1,969    36,976

福島県の震災避難者(51184人)のうちの70%以上は東電福島の事故で、放射性物質が降り注いで避難することになった、前掲の3町村の人たちです。町村民が少なくなった最大の原因が放射性物質で、それが戻りなくても戻れない理由です。
 その3町村を含む12市町村への「移住促進」「人材確保」を検討しているのが、復興庁の専門検討会です。避難している人たちが戻りたくても戻れない町や村への「移住促進」「人材確保」です。自分たちの町や村に、他の誰よりも戻りたいのに、その町や村に戻ることができません。
 なのに、その町や村に、元々町や村の人ではない人たちの「移住促進」や「人材確保」に取り組むと言ったりするのは何か変です。元々、それらの町や村に住んでいた人が戻りたくても戻れないのは、そこが、東電福島の事故で降り注いだ放射性物質で住めない、「避難区域」になったからです。除染し、部分的に避難は解除されていますが、避難を指示された時の、根拠として示された放射線量のことから言えば、安心して戻れる場所ではありません。たとえば3つの町や村の人たちの多くが戻らないのは、それがあるからだと考えられます。中でも、子育てをしている人たちにとって、そこで生活を再開することの不安は払拭されているとは、到底言えないはずです。何よりも困ってしまうというか、あり得ないのは、避難を解除し、戻ることを促す場合に、たとえば20m㏜/年以下の追加被曝であれば「心配はいらない」と主張しますが、この主張が必ずしもと言うことではないからです。と言うのは、放射能による被曝が「心配はいらない」と言う低線量の被曝については、「心配はいらない」だけではなく「十分に心配する必要がある」、とする調査研究の結果も示されているからです。「心配はいらない」と言う主張が、「十分に心配する必要がある」を、調査・研究をもとに、否定しているのではなく、結果的に「心配はいらない」の押しつけであるところが、余りにも強引で説得力に欠けているのです。
 それなのに、復興庁は、避難区域が設定された12市町村への移住促進、人材確保の為「移住専門検討会」を発足させ、「12市町村の将来像実現加速化に向けた復興庁の重要テーマ」として前掲の5項目を示しています。以下、その5項目を検討します。

▶物流における課題解決に向けた調査事業:「物流」というものは、そこに「需要」がある時に、大小の障害があったとしても、その一つ一つを解決しながら生まれます。何よりも、そこへの「移住促進」を考えるよりないような、3つの町村の場合、そもそもの需要が生まれないし、物流も起こりにくいと考えるのが自然です。
▶学校教育の魅力づくりに関する調査事業:学校の子どもが主人公であるべきだととすれば、文科省の調査で40万件を超えるいじめ、ほぼ同数の不登校・不登校予備を生み出しているとすれば、かなりの子どもたちにとって、そこは自分が主人公である場所ではなくなっています。3つの町村の場合、そうした学校の現実とは別に、その町村の学校が「魅力」に欠けているとすれば、東電の事故の放射性物質で汚染され、そこが、放射能の被曝に対して感受性が高いとされる子どもたちにとって、そもそも学校生活にふさわしくない場所です。そんな現実を無視ないし赦免して、そこを魅力ある場所にしようとするのは、何よりも子どもたちを欺き、かつ被曝の危険にさらすことになります。
▶人材の確保・活用に関する調査事業:人が「人材」である為には、そこが「確保・活用」の条件を備えている必要があります。しかし、3町村の場合、放射性物質の危険で人が避難した場所であるとすれば、その条件の前提が崩れています。
▶移住者や関係人口の拡大に関する調査事業:そこで生活し歴史に刻んできた人たちが放射能の危険で戻れない場所に、その事実をつまびらかにしないで「移住」を呼びかけるのは虚偽であり、当然多くの移住者を期待することはできないはずです。当然、関係人口の拡大も起こりようがありません。
▶交流・周遊の魅力向上に向けた調査事業:元々そこで生活していた人たちが危険で戻れない場所なのに、そこでの「交流・周遊の魅力向上」を促すとしたら、その危険を隠す以外なくなります。それって、一つの国が、国民に対してしていいことなのだろうか。

 「一つの国が、国民に対して」はもちろん、一つの村が村民、中でも子どもたちに対してしていいことなのだろうかを、何のてらいもなく実施しているのが、福島県飯舘村です。 
  (次週につづく)
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