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2020年09月03週
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(前週よりのつづき)
この危機を乗り切る方法は
私たちが一体になること
コロナウィルス渦中に芽吹く相互扶助 ④

レベッカ・ソルニット 渡辺由佳里訳

今起こっているこの災害のさなか、数え切れないほどの思いやりと連帯の行動を目撃している。この寛大さの精神こそが、私たちをこの危機から抜け出させてくれ、より良い未来へと導いてくれる。

 現在の危機について私が注目に値すると思っているのは、純粋にボランティア主導で寄付だけのプロジェクトと、その他の目的を持つ数多くの組織がこの瞬間のニーズに応えようとしていることの間に明瞭な区別がないことだ。多くの企業や労働者が、利他主義から、これまでやってきたことや方法を多くのやり方で変更している。フロリダ州タラハシーのとある仏教グループは、地元の医療従事者のためのマスクを中国から購入するために50万ドルの資金を集めた。マサチューセッツ州は、個人用保護具(PPE)の購入で連邦政府と入札競争をするのを回避し、中国から直接120万枚の(医療)マスクを購入し、地元フットボールチームのニューイングランド・ペイトリオッツがチーム所有のジェットで搬送した。
 他の場所でも、他の仕事がなくなってしまったアーミッシュの家族が、PPEを緊急に必要としているクリープランドクリニックのために布マスクやフェイスシールドを大量生産するようになったことをニューヨーク・タイムズ紙が報じた。(これは、店舗を閉鎖したレストランに孤立している高齢者市民へ食事を届けてもらうというカリフォルニア州政府のプログラムのように、相互関係での両サイドのニーズが満たされ、援助が文字通り相互になっている)ほかにも、ペンシルベニア州の工場では43人の重量員が自主的に自分たちを職場に隔離し、1日12時間、28日間連続で働いて、PPEの主要な原材料であるポリプロピレンを何千万ポンドも生産した。アーミッシュのように(㊟)、彼らは仕事に支払いを受けている。そして、緊急なニーズに応えるため、社会的なコミットメントに活気づけられた新たな情熱的な状態で働いている。従業員のひとりがこう語った。「ソーシャルメディアで看護士、意思、救急隊員から、私たちがやっていることへの感謝のメッセージを受け取ります。でも、私たちのほうこそ、彼らがやってきたことそしてやり続けていることに感謝しています。彼らを支えることができるというだけで、そこにいた時間があっという間に過ぎたのです」
 第二次世界大戦の最後の1000日間、サンフランシスコのベイエリアの造船所の労働者は1000隻の軍艦を生産した。つまり、1日に1隻の軍艦ということになる。それほど壮大で緊急的な産業が稼働しているのだが、連邦政府やその他のいかなる政府も関わっていない。4月初旬、ニュースサイトHoodlineのベイエリア支部は次のように報じた。「木曜の朝、2トンのプラスティックシートがアラメダの倉庫に届いた。週末の終わりには、それが1万6千のプラスティック製フェイスシールドになっていた。この驚くべき変換はすべて、大学や組立工場を制作スペースに変貌させ、ミシンやCNCマシン、3Dプリンターを自分で持っている人ならほぼ誰でも臨時の医療用品メーカーにしたベイエリアの製作者たちによる自己組織化のおかげなのだ」。この記事は、工業デザイン科の学生と教師が行った自己組織化の努力を「分散型工場」と呼んだ。トップダウンの権限なしに編成された分散型の取り組みは、模範的な相互扶助だ。
 4月に、同じ施設で働く14名の看護師と7名の医師が、住民が高い感染リスクにさらされているナバホ居留地で1か月の任務を開始した。それは、ハイチからネパールまで、貧困で脆弱なコミュニティと協働する「HEALイニシアチブ(HEALは、健康、公正、行動、リーダーシップの頭文字)」という、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の現存する組織が手配したものだった。そのミッションステートメント(使命の声明)は、「我々は、連帯を具体化し、コミュニティ自身が主導する世界的な健康の公正のための運動に貢献するよう務める」というものだ。「奉仕ではなく連帯」の原則に基づいたこの取り組みは、ストレスにさらされているコミュニティと6年間協働してきたが、差し迫った危機が終わった後でも存続しているだろう。
 ハリケーンや地震といった「通常の」災害の最中には、援助に意欲的な人々が被災地に集まるボランティア集中と呼ばれる現象が起こる。ときおり、あまりにも多くの人々と寄付された物資が押し寄せ、危機の中心にいる人々に管理上の問題を引き起こす。現在起こっているのは普通の危機ではない。全世界が被災地であり、一か所に集まることは禁止されている。けれども、人々はほかの多くの方法で参加している。この作業のいくつかは、常に継続的である。軽減すべき苦難や不正は常に存在するし、軽減しようと試みる人も常に存在するから。
 通常の災害でさえ本当に終わることはない。ハリケーンカトリーナがニューオーリンズや湾岸のその他の地域に与えた影響は、さまざまな形で続いた。とはいえ、長く残る影響には、少なくともいくつかの良い側面がある。「コモングラウンド・ヘルスクリニック」は「コモングラウンド・リリーフ」から発生したものであり、15年経った現在でも、ニューオーリンズ地域で無料の医療を提供している。
 Covid‐19のパンデミックと経済危機は終わらない。物事が以前の状態に戻ることが終了を意味するのであれば、2020年1月の「常態」が何を意味したにせよ、その状態には二度と戻らない。枯渇したばかりの可処分所得によって支えられていた何百万もの仕事も戻らない。過去数十年の間に、社会のセーフティネットは解体され、教育、医療、その他基本的な人間のニーズは、真っ先に株主に尽くす営利のための画策に変貌していた。それにより、19世紀の悪徳資本家の資本主義が復活していたことを思い出す価値はある。つまり、この危機の前から、何十億もの人々にとって日常生活は既に災害になっていたのだ。

㊟「アーミッシュ」は、宗教改革後のヨーロッパで生まれたキリスト教の一教派。キリスト教共同体として、古い生活様式、自給自足の生活を厳格に守り、一般社会から離れた場所で集団生活をしている。信仰、及び信仰的態度をもとに、徹底して質素生活を営んでいるという意味では、最も人間らしい生活をこの社会の中で実践していると言えなくはない。
 「アーミッシュ」については、ハミルトンが「偉大なるM.C」(岩波書店)で「接点」で生きる人たちの生きたつながりを描いている。
(次週につづく)


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