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2020年10月01週
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東電福島の重大事故(燃料が溶融する、いわゆるメルトダウン)が、取り返しのつかない重大事故であるのは、どんな意味でも処理不能な放射性物質が環境中に放出され、福島を中心に「世界中」にそれが降り注ぐことになったからです。2011年6月に、放射性物質のうちのセシウムを「除去」するセシウム除去装置の稼働が始まったことで、「放射性物質はコントロールされている」と言われましたが、それ以外の放射性物質を含む高濃度の汚染水は残って増え続けました。2013年3月、その汚染水から放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)の稼働が始まり、除去の難しいトリチウムだけが残ることになりました。なったと言われ、トリチウム汚染水を薄め海洋に放出することが、ほぼ決まりかけていました。しかし、そのことが決まる直前になって、ALPSでは除去できなかった放射性物質が、それには含まれていることが判明し(東電は明らかにしていたと釈明している)、問題は振り出しに戻っていました。しかし、東電は、増え続ける汚染水の貯蔵タンクの設置場所が得られないことを理由に、国・政治と一体となり、汚染水の海洋放出を強行しようとしています。
 たとえばこうして、放射能汚染水を「基準値以下」に薄めれば、海洋に放出してもかまわないとする根本にある理解が、たとえば東電福島の重大事故になり、その重大事故の事実から、原子力発電所の稼働の誤りを直視しないで済ます、即ちこの重大事故から何一つ学ばない、東電及び国・政府の対応になっています。
 たとえば、トリチウム汚染水を貯蔵するタンクの設置場所が、事故の東電敷地内では限界、得られないとされますが、たとえ東電敷地内であっても、環境中にあってはならないはずの放射性物質が、本来はあってはならない「簡易」なタンクに、しかも所狭しとそれが設置されるなどということはあり得ないことです。セシウム除去設備の場合も多核種除去設備の場合も「除去」されたとするセシウム、多核種は、同じ東電敷地内に放射性物質の管理ということでは本来あり得ない「仮置き」の状態で置かれ、それらは、どんな意味でも処理不能です。
 重大事故になってしまう時、処理不能の放射性物質を環境中に放出することになるから、事故が起こらないことを絶対条件に稼働させていたのが、原子力発電所です。もちろん、絶対などということはあり得ませんから事故は起こってしまいました。そうして起こってしまった事故責任を、「事故が起こったのは想定外」であったとして、一切の責任を取ろうとしないのが東電です。
 「起こらないはずの事故が起こったのだから想定外」で、事故責任が問われないのなら、すべての「いわゆる犯罪」と言われるものも、その理屈が通るのであれば責任が問われなくなります。東電の責任を問う刑事裁判では、その理屈を裁判所が追認し、問われた東電の責任者は無罪になってしまいました。
 こうした、東電福島の重大事故の責任、事故そのものの本来の事実をなかったことにする、一連の働きが、たとえば帰還困難区域の避難解除であったり、事故は継続中で何一つ終わっていないのに、「震災や原発事故の教訓を伝える目的で福島県双葉町に20日(9月)に開館した『東日本大震災・原子力災害伝承館』」だったりします。「館内で活動する語り部が話す内容について『特定の団体』の批判などしないよう求めている」ことが明らかになっています(9月24日、朝日新聞)。「伝承館は福島県が建設した。各地で収集された24万点の資料から150点余りを展示する。計53億円の事業費は国が実質全て負担した。国の職員も出向する公益財団法人『福島リノベーション・コースト構想推進機構』が管理・運営する」のが伝承館で、「国や東電」の批判は禁止されます。建設された双葉町は、現在も全町民の避難が続いており、建設場所はその双葉町の一部を、「復興拠点」として集中除染をした上で避難を解除、建設されたのが「伝承館」です。「伝承館」がもし、東電福島の重大事故の事実を共有し、伝える内容であるなら、事故の事実を直視し、事故の事実そのものを展示することでなくてはならないはずです。しかし、そんなことはあり得ないし不可能であるのは、すべてにおいて汚染されている事故の事実は、危なくて展示などできるはずがあり得ないからです。そもそも、そんな状況で(双葉町が全町避難であったり、処理不能の汚染水、汚染物質が増え続ける「危険」な事故が継続中の東電福島で)「伝承館」は、事故の事実に口をつぐむし、口をつぐませることを強いられたりもします。「語り部(伝承館)を対象に7月と8月に研修会があり、配られた機構と伝承館の連盟の語り部マニュアルでは口演内容は『大震災及びそれに伴い発生した原発事故に関する』ものとする一方、『特定の団体、個人または他施設への批判・誹謗中傷等を口演内容に含めないようお願いします』と記載」「研修会で『東電の責任をどう思うか質問が出た際、伝承館の職員は『職員が代わりに答える』と回答を控えるよう求めたという』「特定の団体を批判した場合など口演を中止して、語り部の登録から外すこともある」(9月24日、朝日新聞)。
 こうして、東電福島の現在も進行中の重大事故の事実を「伝承」の問題にすり替えようとするのが「伝承館」です。
(次週につづく)
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