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2020年10月03週
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(前週よりつづき)
 「日本原子力学会福島第一原発廃炉検討委員会の廃棄物検討分科会は17日、オンラインで開いた初の大会で、東京電力福島第一原発の廃棄物管理についての提言などを盛り込んだ中間報告の概要を発表した(「国際標準からみた廃棄物管理―廃棄物検討分科会中間報告―」福島第一原子力発電所廃炉検討委員会、一般社団法人、日本原子力学会、以下中間報告)。廃炉を着実に進めるため、廃炉完了の具体的な定義や放射性廃棄物を減らす取り組みの必要性などを盛り込んでいる。少なくとも溶融燃料(デブリ)取り出し開始から20~30年で事故前の状態に戻すことが困難との見方も示している」。
 以下、前掲中間報告をもとに、(1)、廃炉完了の具体的定義 (2)、放射性廃棄物を減らす取り組み (3)、溶融燃料の取り出し (4)、事故前の状態に戻すなどについて「検討」します。
 (1)、廃炉完了の具体的定義
 従来、東電福島の重大事故の事故後の対策を統括する組織の言葉として使われてきたのが、国・東電によって構成された「廃炉カンパニー」でした。ですが重大事故になったとは言え、東電福島(1Fと略称)の事故対策は、従来は事実においても、その定義・言葉においても、当然完全な収束「廃炉」でした。それが、危険極まりない処理不能な放射性物質の「塊」であったとしても、その危険を含めて跡形もなくなり、安全な「更地」になるのが一般的な「廃炉」の理解でした。「放射能はコントロールされている」というのは、確実にその状態であること、その道筋が付けられていると理解されたはずです。中間報告はしかし違っています。「1F(東電福島第一原子力発電所の略称)は、特定原子力施設に指定され、通常炉と同様の手順を取ることが必須の条件とはなっていない。このように残存燃料及び燃料デブリを取り扱うこと、作業は事前に認可された実施計画に沿って実施される点が通常炉との大きな違いである。これらを考慮して1F施設の除染・解体を通常炉の廃止措置と区分して『廃炉』と記述する」とした上で、別に廃炉の定義をします。ちなみに、「通常の原子力発電所は『廃止措置』という言葉を当て」られています。「通常炉の廃止措置、少なくとも商用原子力発電所の廃止措置では、燃料を炉心から全て取り出した後からの作業を『廃止措置』と定義」します。(以上中間報告、P.5)。通常炉を運転停止し廃止措置が取られるのと、炉心溶融、水素爆発で建屋などが破壊された1Fの場合とでは、何によりも環境中に大量の放射性物質を放出したこと、現在もそれを止められない危険な状態にあるなどのことから、状態は根本的に違うしそもそも何一つ「廃止」の「措置」を取りようのないのが1Fです。だから、「廃炉」になりました。しかし、前述のように、一般的にそうした言葉で理解されるのと、1Fの現状は大いに異なっています。と言うか、一番肝心の炉心及び溶融燃料などの様子は、ほぼ解っていないし、解りようがないのが、9年経った現在の1Fの状況です。
 だったら、その事、「原子力発電所の重大事故があり得ること(あり得た!)、それは取り返しが付かない事態であること、もちろん、文字通りの意味での「廃炉」などあり得ないことこそが、中間報告をしている、原子力学会の、学会としての科学者としての見解であるべきです。なのに、こう「廃止措置」と「廃炉」と分けてしまった時「廃炉」はその困難さ故に、止まるところなく拡大解釈されることになります。もちろん、「廃止措置」もほぼまったく廃止であり得ないのは、その事によって発生する一番の問題である、廃棄物の問題・管理はほぼすべて先送りされているからです。「廃止措置工事から発生する放射性廃棄物を処分する為の処分場は決められておらず、また、処分に向けた廃棄物の受け入れ基準も決まっていない。1Fのみならず、廃棄物管理に係る対策はわが国おける原子力利用の緊急な課題であるが、これまでの原子力利用においては先送りされる傾向がある」(中間報告、P.30)。「先送りされる傾向」ではなく、すべてが事実において先送りであるのは、1Fの事故の場合の除染された汚染土壌などの置き場所、最終処分場が決まらないままなのに、中間貯蔵施設と称する場所に運び込まれています。
 (2)、放射性廃棄物を減らす取り組み
 現在、原子力発電所の稼働などによって発生する、放射性廃棄物はどんな意味でも、処理は困難です」。何らかの手段で無くしてしまう毒であれば、減らすことも可能ですが、一般的に人間が生きる時間の軸をはるかに超えて毒であり続ける意味でも放射性廃棄物の処分は難しいのです。そんなやっかいな毒を一時的にはもちろん、最終的に保管する場合、それを受け入れる場所は得られませんから、東電の事故の前からの放射性廃棄物も、処分場が得られないまま増え続けています。
 重大事故になった1Fの場合廃棄物の量は、燃料が溶融した炉などはそれを計算する手だても阻まれていたり、施設全体が汚染されている為、全体はもちろん部分も把握することは現在もこれからもかなり難しい、あるいは不可能と考えるのが自然ですが、「見積り」は出されています。
 「…サイト全体に亘って汚染されているため、放射能レベルは比較的低いものの、その汚染を取り除く作業(除染作業)が行われると、大量の放射性廃棄物が発生することになる。その量は、今後の試料採取による測定などによって推定されることになるが、文献では解体等と合わせて総計780万トン以上と見積もられている」(中間報告、P.18)。1Fの放射性廃棄物の量を減らすにしても、何がどの程度の量なのかなどが解明されない限り、「今後の試料採取による測定などによってそれが推定」の「推定」だったら、やっぱり見積もられている780万トンには、根拠がないことになります。
 この中間報告がまとめられることになったのは、1Fの「廃炉」です。「廃炉」は、報告書が定義する「エンドステート」即ち「最終的な状態」で、一般的な使われた施設の最終的な状態は「更地」です。しかし、(1)で検討したように、1Fに関しては「廃炉」に新しい定義をした為、「最終的な状態」は、いわゆる「更地」でなくてもかまいません。
 そうした理解から導き出された「放射性廃棄物を減らす取り組み」は、中間報告書によれば放射性廃棄物を廃棄物と見なさないという別の解釈をすることだって可能になります。たとえば、そこにそのまま置いておくこともあり得る訳で、廃棄せずにただそこにある存在ということだって可能で、「以上終り」になります。
(次週につづく)
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