(前週よりのつづき)
危険だからと、移転することになる当面は使い続ける普天間飛行場が危険なのは、それが宜野湾市の街のど真ん中にあるにもかかわらず、「実戦」を想定した、飛行訓練が繰り返されるからです。沖縄の米軍は海兵隊です。米軍の中でも、最前線を担当する精鋭部隊で、その訓練は常に実際の戦闘を想定しています。普天間に沖縄の人たちの反対を押し切って配備されたオスプレイは、なによりも機動性を重視した、実戦の兵士を直接戦場に送り届ける輸送機です。ですから、その飛行訓練が、昼夜を分かたないで、街のど真ん中の飛行場で着陸を繰り返すのは、それが「任務」だからです。街のど真ん中であっても、それが危険であっても、海兵隊の任務が優先するのです。それが辺野古に移ることになっても、当然、それが海兵隊の基地である限り、危険もそのまま移されることになります。
沖縄の米軍基地の危険は、単に普天間飛行場のような問題に止まらず、沖縄島の人たちの様々な日常生活に及びます。それが「米兵事件16件『異常』/直近3週間、強盗や障害・酒気運転」だったりします。「米軍人による事件が相次いでいる。県基地対策課によると、10月24日から11月17日までの約3週間で強盗や障害、器物損壊、酒気帯び運転などが少なくとも16件発生した。要因として基地外での飲酒の緩和やコロナ禍で米兵への講習が開催されていないこと、7~10月に沖縄に着任したばかりの新兵が多いことなどの指摘もある。自友からは『異常事態』との声が上がっている」(11月18日、沖縄タイムス)。
街のど真ん中にあって、大きな事故の危険や、日常的におびただしい数の飛行訓練によって、生活が脅かされるだけでなく、生活の細部にまで及び、すぐそこで事故、事件の危険にさらされているのが沖縄の人たちです。それが、沖縄の米軍基地の存在、たとえば、以下のような事件が場所を選ばず起こり続けるのが沖縄です。
11月26日:「大麻密売元軍属基礎内容認める/那覇地裁で初公判」
11月30日:「酒気運転疑い米軍兵逮捕/沖縄署」
12月1日:「タクシーで暴行海兵隊員を起訴/那覇地検窃取や脅迫で」
12月 6日:「90デシベル超騒音301回、今年1~11月(宜野湾、緑ヶ丘保育園上空の米軍機騒音)」「『子のため安全な空に』宜野湾、保護者ら動画で訴え、緑ヶ丘保育園部品落下3年」
12月 7日:「緑ヶ丘保育園にヘリ部品落下3年、県警事実認定に難航/操作に地位協定の壁」(たとえ落下の事実が認められたとしても、日米地位協定に伴う航空機の適用除外規定によって米軍側の過失は問われない)。
12月 9日:「米兵民間地で野営か/東村高江/『訓練の一環』と返答」
12月13日:「台船2隻で土砂陸揚げ」「米軍ヘリ窓落下3年、オスプレイ墜落4年/増える離着陸、変わらぬ危険/普天間の学校上空で飛行/離着陸年2000回台」「辺野古土砂投入2年/国、埋め立て加速化狙う/承認変更、県判断が焦点」
12月15日:「ハンセン米兵酒気運転容疑/沖縄県逮捕」
12月16日:「米軍放射性物質廃棄か、北部訓練場跡/部品からコバルト60」「騒動前、米兵事件1000件超/県警『恨み晴らすよう』」(コザ騒動50年)
12月17日:「ヘリ部品落下解明できず/緑ヶ丘保育園事故県警近く発表」
12月18日:「普天間飛行場にまた外来機飛来/F35沖縄防衛局が確認」「放射性物質を撤去へ/北部訓練場巡り防衛局」
12月19日:「落下物調査継続訴える/緑ヶ丘保育園側『納得できない』」
何が起ころうと、何を起こそうと、前掲の「日米地位協定」※①が、沖縄島の生活のすべてに及んで、日本の法律の「適用除外規定」になってしまうのが沖縄島です注①。普天間飛行場が危険だから辺野古に移すとする、は詭弁であるのはもちろんですが、存在と存在の在り方がもともと危険であるのが、沖縄島の米軍基地です。そして、どんなに危険であっても、事件になったとしても、米軍基地に関係するすべては、日米地位協定によって免罪されます。その事実を黙認し続けるのがすべてにおいて日本という国です。「沖縄の皆さんの心に寄り添いながら(負担軽減の)取り組みを進めて参ります」などと公言してはばからないのが首相であったとしても、問われているのは、日本という国のすべてです。
(次週につづく)
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