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2021年09月04週
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(前週よりのつづき)
 「京大など発表」の「デブリ回収で新工法、『窒化ホウ素』噴射し切削」が、「空想」ないし「妄想」に過ぎないことは、以上引用した工法などに関して紹介する記事が、そのまま物語っています。

(イ)東電福島の事故で、全電源を喪失した原子炉は冷却機能を失い、燃料が溶融し、更に原子炉構造物も溶融してしまいました。デブリです。
(ロ)「デブリは構造物と混じって固化しているとみられているが、形状や分布状態は分かっていない」、10年経っても「分かっていない」のは、分かろうとするどんな人為的な手段も、燃料の溶融によって起こっている、処理不能の高い放射性物質が阻むからです。調べられないのです。
(ハ)で、10年以上経って試みられようとしているのが、「作業用機器『ロボットアーム』を使って1グラム程度を取り出す」です。試みに取り出すのが作業用機器『ロボットアーム』であるのは、他のいかなる人為的な手段も、高い放射線量が阻むからです。事故から10年以上経っても取り出せそうなのが「1グラム程度」であるのは、高濃度の放射性物質が充満している原子炉内に通じる、既成の配管があるのみで、まあ要するに「穴」を新たに空けることも大きくすることも、放射性物質を外部に放出させることになりますから、難しいし、そもそもが不可能なのです。
(ニ)「新工法」の装置は新聞のイメージ図によれば、原子炉内に設置されているようですが、「作業用機器『ロボットアーム』」以外挿入できなくて、それでもって「1グラム程度」しか取り出しを見通せない現状で、その「新装置」はどんな意味でも、原子炉内に持ち込むことも、設置することも不可能です。

 オンラインで開かれた日本原子力学会の「京大などの発表」を、「経済産業省資源エネルギー庁の担当者は『廃炉に向けてアイデアが生まれ、選択肢を増やすことは重要。(新工法)の実用化に向けて関係者と十分に議論してほしい』と評価した」ことも合わせて新聞は紹介しています。
 「デブリ回収で新工法」を少しばかり紹介し「評価」したように、「京大」も発表をオンラインで示すことにした「日本原子力学会」も「経済産業省資源エネルギー庁の担当者」も、東電福島の事故が、人間が作ってしまったものが人間に突きつけている事故の事実と向き合おうとしていない人たちであることです。「欠落」しているものがあるとするなら、自らがあれこれ欠落しているところの多い人間理解の欠落です。
 人間が作ってしまった原子力が、そのおぞましい力を、人間の世界で示すことになったのは、広島・長崎の原子爆弾です。無差別に、生きものとして人間の存在そのものを痕跡も残さず消滅させる兵器は、それを作った人間を否定する以外のなにものでもないことを、使われた結果の広島と長崎の事実が雄弁に物語っています。

 動物たちのあきらめのさけび声……自分たちのいろいろなことばでさけんでいた……。このことはすでに新約聖書に書かれています。エルサレム神殿にやってきたイエス・キリストが、そこで見たのは、儀式用供物に用意された家畜たち。のどを切られ、血をながしている。イエスがどなりはじめた。「あなたがたは祈りの家を盗賊の巣窟にかえてしまった」。殺戮の場に……とつけくわえてもよかったでしょう。わたしにとって、立入禁止区域にのこされた数百の生物系汚染廃棄物捨て場は、古代異教の礼拝の場とおなじです。ただ、どんな神が祀られているのだろうか。学問と知の神さま?それとも火の神さま?この意味でチェルノブイリはオシフィエンチムやコルィマを超えています。ホロコーストを。チェルノブイリが提示しているのは有限性。無につきあたっているのです。
 わたしは、これまでとはちがう目でまわりの世界を見まわしています……。一匹の小さなアリが地面をはっている、いまではアリがずっといとしく感じられる。小鳥が空を飛んでいる、小鳥もずっといとしい。わたしは彼らとのあいだの距離がちぢまっている。以前の深いミゾがない。すべて――生命。
「完全版 チェルノブイリの祈り
見落とされた歴史、そしてなぜ…」より
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