12月20日「『鉄の壁』で、地下水阻止、第一原発凍土壁温度上昇問題」「福島医学会、処理水方針福島でシンポ、政府と国民の信頼構築を、学識者が議論、提言」「処理水処分方法を討論、福島高専生、風評対策も」「環境省、全国大学生ら向け原発事故『カレッジ』、放射線正しく理解、福島で配信動画収録」
12月21日「処理水海洋放出、海底トンネル建設計画で東電、事前了解願を提出、県と大熊、双葉両町に、容認が焦点」「第一原発使用済み核燃料取り出し、6号機開始来年度半ば/原子力規制委の検討会」「1、3号機の水位低下向け計画示す」
12月22日「東電、処理水審査申請、放出ありき、見切り発車、不祥事続発で不信高まる」「格納容器の上蓋2.7京ベクトル、第一原発2号機調査」
12月23日「処理水放出方針、政府行動計画、来月から海外風評調査、地域、業種ごと、賠償基準策定へ」「規制委、東電の処理水海洋放出計画、審査案で意見公募」「処理水タンク増設議論を、規制委員長『緊急避難的に』」「処理水海洋放出の再検討要請、県民大集会実行委、政府と東電に」
12月25日「処理水対策、風評抑止へ20億円、生産者支援に事業者計画」
12月27日「Jヴィレッジで浜通り高校生会議、処理水放出『自分事に』全国へ呼び掛け」
12月28日「県廃炉安全監視協、東電の安全対策確認開始、処理水海洋放出、設備建設計画で」「海底トンネル掘削調査完了」
12月29日「処理水放出で政府、行動計画を正式決定、風評対策『目新しさなく』」
事故の東電福島の地元の新聞(福島民報)には、現在の事故の状況を伝える大小の記事とは別に、ほぼ毎日小さい囲み記事「福島第一原発○○日の状況」が、掲載されています。
12月19日「原子炉建屋周辺のサブドレインと呼ばれる井戸からくみ上げ、浄化した地下水1010トンを海洋に放出した」
12月20日「原子炉周辺のサブドレインと呼ばれる井戸から、くみ上げ浄化した地下水816トンを海洋に放出した」
12月21日「原子炉建屋内の滞留水の移送、処理作業を継続した」
12月22日「原子炉建屋周辺のサブドレインと呼ばれる井戸からくみ上げ、浄化した地下水817トンを海洋に放出した」
12月26日「原子炉建屋内周辺のサブドレインと呼ばれる井戸からくみ上げ、浄化した地下水845トンを海洋に放出した」
12月27日「原子炉建屋周辺のサブドレインと呼ばれる井戸からくみ上げ、689トンを海洋に放出した」
12月29日「原子炉建屋内の滞留水の移送、処理作業を続けた」
言われている「原子炉建屋周辺のサブドレインと呼ばれる井戸」は、一つは原子炉建屋に流れ込んで、事故で溶融した燃料を冷やす汚染水と混ざる地下水を抑制するため、くみ上げる井戸、もう一つは混ざった汚染水が海に流れ込むのを抑制するための井戸だと考えられます。別に言われている「原子炉建屋内の滞留水の移送、処理作業」は、これも毎日続いているようで、たぶん溶融した燃料を冷やすために注ぎ込んだ水が高濃度の汚染水となった結果の「滞留水」で、「移送、処理」は、セシウム及び多核種の除去のための「移送」及びその「処理」のことと考えられます。
いずれにせよ、この小さい囲み記事が物語っているのは、東電福島の事故の原子炉には、大量の地下水がそれに向かって流れていて、その結果、大量の汚染水を発生させていること」、その処理に追われるないし、間に合わない事態になっていることです。
っで、サブドレインでくみ上げても間に合わない、いわば変幻自在の地下水対策の切り札として、事故の4つの原子炉全体を囲むようにして設置、建設されているのが「凍土壁」です。およそ、全長2キロメートルと言われるこの氷の壁の設置、建設費350億円を負担したのは国です。地下およそ30メートルに、凍結装置の巨大な柱を並べて壁にしてしまうこの工事は、工事が難航して、一旦は設置、建設が完了したものの、なかなか壁として凍ってくれませんでした。そして、凍ったということになっていたのですが、ここにきて、一部が凍っていないその部分からそんな途方もない冷凍設備を、地下30メートルの深さにまで設置、建設しなければならないのは、この事故が原子力発電所というものを構想し、実現した人たちの何が欠落していたかを突き付けているように思えなくはありません。今、この国では、ほとんどの家庭には冷凍庫付きの冷蔵庫が置かれています。それを機能させているのが「電気」です。その「電気」を「必要とするだけ」家庭に送り届ける働きを担っている一つが、原子力発電所です。その原子力発電所が事故になって、その事故対策に設置、建設されたのが、巨大冷凍庫、凍土壁です。もちろん、途方もない大量の電気を「消費」することになりますが、それを「惜しむ」場合ではないと考えられえています。
(次週につづく)
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